


『鼻茸』とは慢性的副鼻腔炎(一般的にいう蓄膿症)に付随する一つの病状で、別名 鼻ポリープとも呼ばれています。鼻かぜやアレルギー性鼻炎にかかり、膿のような黄色の鼻水がでて、鼻づまりが長期間治りきらない場合、慢性副鼻腔炎の可能性があります。その時に鼻の中を診察すると、白い水ぶくれのようなこぶが見えることがあります。これが『鼻茸』であり、鼻の中の粘膜がきのこ状に腫れたものです。
鼻茸が出来ると鼻つまりが治りにくくなり、薬の治療だけでは改善しない場合があります。また鼻腔と副鼻腔の連絡路を閉塞していることが多いので副鼻腔炎が治りにくくなる原因にもなります。


軽症のものはある程度薬剤と通院による局所療法、ネブライザー療法で制御できますが、治らない場合や症状が軽快しない場合は、その部位を取り除く、摘出術をおこないます。手術は鼻の入口より『鼻茸』を切除し、空気の通り道を作ります。近年、技術が発達し、多くの施設で内視鏡を使用した手術が主流となりつつあります。
さらに、当院では鼻腔内視鏡装置に加えてマイクロデブリッダーという『鼻茸』を削り取る器械を導入し、局所麻酔下に従来より短い手術時間で出血も少なくより確実に除去ができるようになっています。


手術時間は、片方10分程度と考えていますが、出血が多かったり炎症が強い場合、鼻が狭い場合などは時間がかかったり、途 中で手術を中断することがあります。手術後、化膿止めの点滴を行い止血確認し帰宅します。(日帰り手術です)しばらく鼻水に血が混じりますが大丈夫です。 術後しばらくは手術した鼻の中の処置が必要なため週に2回くらいの通院が必要ですが、その後適宜診察の間隔は長くなっていきます。手術費用は、鼻茸の大きさ、位置、重症度で変わります。3割負担で片側で約4000~12000円くらいですが、これに使用する薬剤や点滴の費用がかかります。
両側の鼻茸がある場合は、まず片側を行い、術後安定したら反対側の手術を行います。

また、鼻茸を切除しても炎症をくり返すことで鼻茸が再発することがあります。このような症例には、内視鏡下副鼻腔手術(FESS)が必要となりますが、この手術は鼻のさらに奥の操作になるため入院が必要になります。より根本的な治療になります。
重症度によっては、初めからこの手術が必要になります。重症度の判定はCT検査が有用です。(当クリニックでは、隣接するアベクリニックにてCTを撮影し、 手術適応を判断することが出来ます。)この手術が必要な場合は入院治療に対応している病院に紹介させて頂くことになります。
