耳鼻咽喉科まつだクリニック・春日井市,耳鼻科・めまい・アレルギー科・耳鳴り耳鼻咽喉科まつだクリニック

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舌下免疫療法

スギ花粉症に対する舌下免疫療法について

免疫療法とは、病気の原因となる物質を少ない量から徐々に増やして体内にいれて体をアレルゲンに慣らして症状を和らげたり根本的な体質改善も目指す治療法です。以前は皮下に注射することで行われていましたが頻回に通院することが必要であることと注射によりアナフィラキシーや痛みのためあまり普及しませんでした。研究が進み舌下にアレルゲンの入った錠剤をのせ吸収させる治療が開発され2014年4月から保険診療として認定されました。舌下法の有効性は根治する例は10~20%程度、多少は症状があったがとても良かったという例が20~30%、効いたと思うという人が20~30%で、全体の70~80%の人にある程度の効果が認められるようです。舌下法でも注射の方法と同じように治療には3~5年かかります。ただし、舌下法は家でできますので、毎週の通院は不要ですが経過観察の目的で月に1〜2回は通院が必要になります。舌下免疫療法は、全員に同様に効くものではありません。効かない方もみえます。また、数年で効果が高まりますので、まずは3年をめどに継続が薦められています。そこで、終了しても効果は持続すると考えられています。終了して何年も経過すると、また、スギ花粉症が悪くなる場合があり、その時はその時点で再度1~2年間の舌下免疫療法を行うと、効果が元に戻ると考えられます。

 

注射の方法より安全と考えられていますが副作用の可能性はあります。口の中の掻痒感や咳などが考えられますが次第に継続していく中で軽くなることが多いようです。中には非常に強いアレルギー症状が出る可能性があります。体調や決められた量を守らない使用法などで副作用の出方が強くなることがあります。

 

治療は決められた量の錠剤を毎日舌下に置き約1分間そのまま保持しその後は飲み込んでもかまいませんが、5分間はうがいや飲食を避ける必要があります。また投与後2時間は激しい運動、入浴、アルコールを避ける必要があります。治療は毎日続ける必要があります。中断してその後勝手に増量したりすると強いアレルギー症状が出て危険ですので絶対してはいけません。治療は少なくとも毎日2年間できれば3年間継続する必要がありますので根気のいる治療です。続ける事で効果が増強していく可能性が高いので最初の1年間は効果が実感できない人もあるようです。またスギ花粉症の時期を外して始める必要があるため5月中旬以降、少なくとも11月末頃までには開始しないといけません。治療開始のタイミングはスギ花粉症のシーズンやそのシーズンに近い場合は副作用が出やすくなるため避けた方がよいと考えられています。また他の花粉のアレルギーがある人、1年中アレルギー症状のある人は他の人に比べ副作用が出やすくまた治療の効果も低くなる可能性があります。また妊娠中は受けることが出来ません。スギの花粉のみに有効なためヒノキ花粉には効果が期待できません。イネ科の花粉症のある人はその時期の治療開始も避ける必要があります。スギ花粉症の症状がひどく薬物による治療では治療効果が低い方にお勧めの治療法であると考えられます。また妊娠、出産の予定がある女性が妊娠する前に行うのもよい適応であると考えます。5歳以上で治療ができる小児であれば小児でもできる治療ですので小児もよい適応だと考えます。

治療開始に際し治療方法を患者様も充分に理解していただく必要がありますので最初は特別枠(平日の15時からの枠)で診察の予約を取ります 。最初に花粉アレルゲンを投与するときはクリニック内で行い副作用が出ないか30分程度待機していただき副作用がなければそのまま帰宅していただき翌日からは自宅で治療をしていただきます。

治療の適応があるかどうかを診断する上で治療を妨げる他の病気がないか、また確実にスギ花粉症であるのか、他の花粉症やアレルギーはないのか等いくつか確認が必要です。希望されても適応がない場合は治療をお断りする場合もあります。

よろしくお願いします。

耳鼻咽喉科まつだクリニック院長 松田 太志