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睡眠時無呼吸症候群

いびきは睡眠障害や呼吸障害のサイン

いびきをかいて良く眠っている」と云われますが、実はいびきをかいているときは余りよく眠れていないことが多いのです。脳波を分析してみますと、いびきをかいている時は睡眠が浅く、体の疲れがとれるような深い睡眠は得られていません。おまけに、いびきをかく男性の30%、女性の20%は病的な睡眠時無呼吸をもっています。いびきは舌やのどの筋肉の緊張がとれて、空気の通り道か狭くなっったり、鼻がつまったりすると起こります。睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは、1時間の睡眠中に10秒以上の呼吸が停止、つまり無呼吸や気道が狭くなり呼吸が細くなることが5回以上繰り返される病気です。睡眠時無呼吸症候群はさまざまな症状を伴います。前述のとおりいびきや夜の睡眠をきっちりとれていないことから、昼間足りない分を補おうとして眠気が発生したり、起床時の頭痛、熟睡感の欠如、睡眠中に脳が覚醒状態になる(中途覚醒)などがあります。そして、さらにそのまま放置しておくと不整脈、高血圧などの生活習慣病を引き起こすほか、狭心症、心筋梗塞、脳卒中といった重大な合併症につながる恐れがあります。患者さんに合わせた、適切な検査と治療が必要です。

予想外に多い睡眠時無呼吸症候群

新幹線の運転手が居眠りのため停車駅を通過してしまい、居眠りの原因が睡眠時無呼吸症候群だったという報道をおぼえている方も多いと思います。睡眠時無呼吸症候群はそれほどめずらしいものではなく、日本人では成人(30~60歳)の約1~2%に見られ、男性に多いといわれます。

原因の大部分は、アゴが小さかったり、舌や軟口蓋(咽喉の奥の肉ひだ)が大きいといった構造上の問題と肥満です。小児の場合は、扁桃腺肥大とアデノイドの肥大が原因のことが多いようです。

睡眠時無呼吸症候群患者の寿命は短い

1時間当たりの無呼吸(咽喉での窒息による呼吸停止)が20回以上に達するような中等症~重症になると寿命が短くなり、7~8年後には20~30%の方が死亡すると報告もあります。詳しく調べると、心筋梗塞を起こした人の30%、脳卒中の50%、高血圧症の30%、糖尿病の30%に睡眠時無呼吸がみつかり、これらの生活習慣病を悪化させる原因の一部になると考えられています。

睡眠時無呼吸症候群の症状

睡眠時無呼吸症候群の患者さんの多くはいびきをかきます。また、夜間の呼吸障害のために深い眠りが得られず、昼間に眠気が強かったり、集中力が低下したり、体がだるかったり、朝の目覚めがスッキリしなかったりします。夜間の酸素不足がひどいと不整脈を起こしたり、心不全の原因になります。朝や夜間に咽喉が乾いたり、いつも咽喉がイガイガしたり、咳込んだり、頭が痛かったりすることもあります。小児にもこの病気はあり、落ちつきがなかったり、夜尿や行動異常,学習障害の原因になります。